2012年5月20日日曜日

防已・木香・馬兜鈴

1,2ヶ月前にアリストロキア酸の副作用問題のさいに“治病求本ホームページ”のブログでも触れましたが、防已や木香の種類は日本と中国での基原生薬の違いなどがあり、かなりややこしいのでこちらに整理したものを書いておきます。


防已について
ツヅラフジ科アオツヅラフジ 日本産の木防已 ・・・ 日本で言う木防已
薬性:寒瀉 燥 降散
臓象:肝木、心火、脾土
帰経:膀胱
別名:木已、木防、青藤根

ツヅラフジ科オオツヅラフジ 日本産の漢防已 ・・・日本で言う防已
中国名 清風藤
     薬性:寒瀉 燥
 臓象:腎水
 帰経:膀胱
 別名:防已、漢已

ウマノスズクサ科アリストロチア 木防已 広防已・・・ 中国でのみ使用
日本では唐防已 輸入名 漢防已
薬性:寒瀉燥降散
臓象:腎水
帰経:膀胱、肺

ツヅラフジ科シマハスノカズラ 漢防已(粉防已・土防已・防已・青藤)主に中国で使用
テトランドラ 
薬性:寒瀉燥降散
臓象:腎水
帰経:膀胱、肺
*シマハスノカズラが日本で漢防已として使われていたものだ。アリストロチアが一部の業者に漢防已として輸入されたために、テトランドラまでが販売、使用が禁止されてしまった。

木香について
ウマノスズクサ科ウマノスズクサ 青木香・・・ 中国
薬:寒瀉
臓象:脾土、肝木
帰経:肝、胃

キク科サウスレア        広木香・・・日本で言う木香
薬性:温補燥中散
臓象:脾土
帰経:脾、肝、肺、胃
木香、老木香、新木香、印木香。

今回の台湾での騒動は青木香が犯人だ。
日本では全く使われていないはず。

その他
ウマノスズクサ科キダチウマノスズクサ 木通         中国
アケビ科アケビ            木通         日本

ウマノスズクサ科ウスバサイシン  細辛

*馬兜鈴は青木香と同植物

2012年5月15日火曜日

天南星 てんなんしょう

テンナンショウ〔本草綱目拾遺〕
[異名]虎掌(こしょう)《神農本草経》

天南星

[基原]サトイモ科 天南星、東北天南星(ヒロハテンナンショウ)、異葉天南星(マイヅルテンナンショウ)などの塊茎。
[性味]苦 辛
[薬性]温    瀉     燥     降    散
[帰経]肺、脾、肝
[臓象]肺金
[薬効・主治]湿を燥かし痰を化す。風を去り驚を定める。腫れを消し結を散らす。

熄風止痙 中枢性のけいれん、意識障害に用いる。
燥湿化痰 半夏に似るが、半夏は脾胃の湿痰、天南星は経絡の風痰、頑痰を除く。

神農本草経には心臓の痛み、肝熱、結気、積聚、伏梁、傷筋(筋違え)、痿(手足の麻痺)、拘緩(手足がかじかむ)を主るとある。

大まかに言うと痰湿を伴う神経、関節、筋肉の麻痺・痛みに効果があると言うことか、

天南星は毒性が強く、けしておとなしい生薬ではない。
炮製して用いるので、自生しているものを採取して服用したりしないでください。

方剤例:二朮湯:半夏・生姜・朮・白朮・天南星・陳皮・茯苓・香附子・黄芩・羗活・威霊仙・甘草