2013年9月30日月曜日

辛温解表剤

解表剤とは発汗・解肌・透疹などの効能を持つ薬物を主体に作られた表証の治療を目的とした方剤である。
辛温解表剤・辛涼解表剤に分けられるが、別に虚弱者向けには扶正解表剤がある。

辛温解表剤
 風寒の邪によって引き起こされた表寒証の悪寒・発熱・頭痛・身体痛などを目標に用いる。
辛温解表薬:辛温解表剤は辛温解表の性質を持つ薬物を主体に作られる。
麻黄・桂枝・紫蘇葉・荊芥・羌活・防風・白芷・藁本・細辛・生姜・藿香・辛夷

主な辛温解表剤
・桂枝湯及び桂枝湯派生方剤
 桂枝加厚朴杏仁湯
 桂枝加葛根湯
 葛根湯
 葛根加半夏湯
 桂麻各半湯
 桂枝加黄耆湯
 桂枝加朮附湯
 
・麻黄湯及び麻黄湯派生方剤
 三拗湯
 華蓋散
 麻杏薏甘湯

・大青竜湯

・香蘇散

・小青竜湯
 

2013年9月25日水曜日

肝火上炎

肝火上炎(かんかじょうえん:肝火・肝火旺)
肝の陽気が過亢進した状態で、実証のみである。
肝気鬱結が助長して起きることが多いが、急激な情緒的興奮により生じることもある。
長引けば陰液を傷め肝陽上亢へ移行する。
神経症、高血圧、肝炎、胆嚢炎などの疾患に見られる。

主症状
いらいらが強く怒りっぽい・入眠困難、悪夢を見る、激しい頭痛、めまい、耳鳴り、突発性難聴、目の充血、口が苦い、呑酸、口渇、便秘など

治法
清肝瀉火
方剤
竜胆瀉肝湯、当帰竜薈丸

※心火旺の場合も不眠や興奮、いらだちが見られるが動悸を伴い、肝火上炎では眼の症状(充血など)、心火旺では舌に異常が見られる。


2013年9月16日月曜日

肝気鬱結

肝の病態の中でも肝気鬱結は最も多くみられるものの一つであろう。
肝気鬱結は肝の疏泄機能の失調であり、もともとは精神的な緊張・情緒の変動など、言い換えれば現代人のストレスに起因する病態であるので、多くの疾患を引き起こしている。
自律神経失調症・うつ病・神経症・消化性潰瘍・肝炎・胆嚢炎・子宮内膜症・子宮筋腫・甲状腺疾患等でみられる。

症状
憂鬱感・情緒不安定・ヒステリー・しゃべりたがらない・ため息が多い・胸脇部の張り痛み・胸苦しい・食欲不振・嘔気・便がすっきり出ない・便秘下痢を繰り返す・頻尿など

論治
疏肝理気・解鬱
柴胡・欝金・青皮・枳殻・枳実・川楝子(せんれんし)・香附子・厚朴・延胡索・烏薬などの疏肝解欝・理気の薬物を中心に用いる。
また肝気鬱結が続くと肝熱が生じ肝の陰血を消耗させるので、白芍・当帰・熟地黄・枸杞子などの補血薬を配合する。
また痰を伴うことで梅核気や甲状腺腫の原因となるので半夏・竹茹などの化痰薬を、血瘀と結びつくと子宮筋腫や子宮内膜症の原因となるため牛膝・桃仁・紅花等の活血化瘀薬をともに用いる。

四逆散・柴胡疎肝湯・逍遙散・大柴胡湯・柴胡桂枝湯

2013年9月8日日曜日

肝陰虚について

肝陰虚・肝陽上亢
肝陰の不足であるので相対的に肝陽上亢となる。
虚熱が大半であるので、肝火上炎のように積極的・一方的に冷やすわけにはいかないので注意が必要である。
肝陰の不足は腎陰不足と共に起きることが多く、
実際の病態としての肝陰虚は肝腎陰虚がほとんどとなる。

主な症状
口や喉の渇き・身体の熱寒・ほてり・のぼせ・ねあせなど、
肝腎陰虚では、これに腰や膝の無力感・手足のほてり・頭のふらつき・健忘・性機能異常などが見られる。
肝陽上亢が顕著だと目の充血やイライラ・怒りっぽい・のぼせ・めまい・耳鳴りなどが見られる。



治法
滋陰・平肝潜陽
滋陰薬:玄参・生地黄・天門冬・麦門冬・女貞子
滋陰潜陽薬:亀板・鼈甲・牡蛎・磁石
平肝潜陽薬:石決明・真珠・竜骨
清虚熱薬:牡丹皮・知母・白薇・銀柴胡・地骨皮