2013年7月9日火曜日

不眠の漢方的考察

睡眠は太陽が地平線に沈むように、陽気が陰に入ることである。
眠れないということは、陽気が何かに妨げられ陰に入れない、
あるいは陰血が不足しているために陽気を受け入れることができないためである。

不眠の原因を具体的に分けると
1,心血虚・心陰虚
   寝付きが悪い・よく目が覚める・夢をよく見る・朝早く目が覚める・驚きやすい
   心陰虚はほてり、のぼせなど虚熱症状が加わる。

2,心火(心火旺)
   実熱である。
   寝つけない・夢が多い・顔面紅潮・焦燥・じっとしていられない・動悸・口渇など

3,心腎不交
   心火旺と腎陰虚の症候が同時に見られる
   心火の症状に、ふらつき・耳鳴り・手足のほてり・のぼせなどの腎陰虚症状が加わる

4,痰火擾心
  肝鬱化火の結果生じた熱痰が心竅(脳の機)を閉塞するか、熱邪の侵襲によって津液が濃縮されて生じた熱痰が心竅を閉塞して生じる。
  統合失調症、脳梗塞などによる脳血管障害、発熱性疾患による脳症、てんかんなどの場合にみられる

5,肝陰虚
  肝陰不足のため肝陽上亢となる。熱虚証であり虚熱である。
  高血圧症・脳動脈硬化症・自律神経失調症・更年期障害・慢性肝炎・慢性腎炎・甲状腺機能亢進症など
  口や喉の渇き・体の熱寒・ほてり・のぼせ・ねあせなどがある。
  肝陽上亢が明らかな場合は、イライラや怒りっぽい、顔面紅潮やめまい感などが出る。 

6,肝火
  肝の陽気の過亢進によるもので、実熱である。
  自律神経失調症・高血圧症・神経症・胆嚢炎・肝炎などでみられる。
  いらいらが強く怒りっぽい・入眠困難、悪夢をよく見る・頭痛・めまい・顔面紅潮・便秘

7,心肝火旺
  肝火の症候とともに強い不眠・躁・動悸・不安など心火の症候がみられる。

8,腎陰虚
  慢性疾患や性生活の不節制・発汗や出血、下痢・ストレスなどにより陰液の消耗によって生じ る。

9,風痰上擾
  
・不眠症に効果があると考えられる方剤

柴胡加竜骨牡蛎湯 梔子豉湯  清営湯 黄連解毒湯  三黄瀉心湯 交泰丸
導赤散 清心蓮子飲 黄連阿膠湯 帰脾湯 人参養栄湯 二至丸 左帰飲 炙甘草湯
 二仙湯 磁朱丸 朱砂安神丸 珍珠母丸 天王補心丹 柏子養心丸 酸棗仁湯 
甘麦大棗湯 血府逐瘀湯 建れい湯 天麻鈎藤飲 抑肝散 猪苓湯 温胆湯
十味温胆湯  清気化痰丸 滾痰丸

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