前回の方剤を薬味から見ていくと
麻杏甘石湯の構成生薬は甘草、石膏、麻黄、杏仁
それぞれの薬性・薬向は
甘草:平平潤平収
石膏:寒泻潤降散
麻黄:温泻燥中散
杏仁:温泻潤降散
主剤は石膏、麻黄であり、
方剤の薬性は主剤によって決まるので、
麻杏甘石湯は石膏の寒性、麻黄の泻性によって薬向が決定されている。
甘草:平平潤平収
石膏:寒泻潤降散
麻黄:温泻燥中散
杏仁:温泻潤降散
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麻杏甘石湯:寒泻
つまり麻杏甘石湯は石膏の寒性で熱をとり、麻黄の泻性で病邪を追い出す効果を持つ事になる。
続いて麻杏甘石湯の派生方剤である大青竜湯は、麻杏甘石湯に桂枝が加わった方剤である。生姜・大棗は麻黄・桂枝による傷陰を防ぐためであるので考えなくて良い。
麻杏甘石湯:寒泻
桂枝 :温補燥升散
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大青竜湯 寒泻(潤降)散
桂枝の発散作用により、解熱作用、祛風作用を強めた方剤である。
五虎湯は桑柏皮を加える事により、降性、つまり咳を鎮める働きを強めている。
麻杏甘石湯:寒泻
桑柏皮 :寒泻燥降散
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五虎湯 :寒泻潤降散
越婢加朮湯は麻杏甘石湯に利水作用を持たせた方剤の一つである。
麻杏甘石湯:寒泻
蒼朮 :温泻燥升散
ー杏仁 : ー潤
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越婢加朮湯:寒泻燥降散
蒼朮により燥性を加えるとともに、潤性の強い杏仁は邪魔になるので加えない。
白虎湯は次のようになる。
甘草 :平平潤平収
石膏 :寒泻潤降散
知母 :寒補潤降散
硬米 :涼補潤降散
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白虎湯:寒補潤降散
※薬性、薬向(病性、病向)についてはこちらを参照されたい
漢方コラム
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