2012年12月10日月曜日

方剤の成り立ち〈基本方剤からの派生〉第2回

前回の方剤を薬味から見ていくと
麻杏甘石湯の構成生薬は甘草、石膏、麻黄、杏仁

それぞれの薬性・薬向は
甘草:平平潤平収
石膏:寒泻潤降散
麻黄:温泻燥中散
杏仁:温泻潤降散

主剤は石膏、麻黄であり、
方剤の薬性は主剤によって決まるので、
麻杏甘石湯は石膏の寒性、麻黄の泻性によって薬向が決定されている。


甘草:平平潤平収
石膏:泻潤降散
麻黄:温燥中散
杏仁:温泻潤降散
────────
麻杏甘石湯:寒泻

つまり麻杏甘石湯は石膏の寒性で熱をとり、麻黄の泻性で病邪を追い出す効果を持つ事になる。

続いて麻杏甘石湯の派生方剤である大青竜湯は、麻杏甘石湯に桂枝が加わった方剤である。生姜・大棗は麻黄・桂枝による傷陰を防ぐためであるので考えなくて良い。

麻杏甘石湯:寒泻
桂枝   :温補燥升
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大青竜湯 寒泻(潤降)散

桂枝の発散作用により、解熱作用、祛風作用を強めた方剤である。

五虎湯は桑柏皮を加える事により、降性、つまり咳を鎮める働きを強めている。


麻杏甘石湯:寒泻
桑柏皮  :寒泻燥散  
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五虎湯  :寒泻潤降散

越婢加朮湯は麻杏甘石湯に利水作用を持たせた方剤の一つである。


麻杏甘石湯:寒泻
蒼朮   :温泻升散 
ー杏仁  : ー潤
───────────
越婢加朮湯:寒泻燥降散

蒼朮により燥性を加えるとともに、潤性の強い杏仁は邪魔になるので加えない。

白虎湯は次のようになる。

甘草 :平平潤平収
石膏 :泻潤降散
知母 :寒潤降散
硬米 :涼補潤降散
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白虎湯:寒補潤降散


※薬性、薬向(病性、病向)についてはこちらを参照されたい
漢方コラム

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